ノロウイルス

 最近小学校の給食が原因で集団食中毒(感染性胃腸炎)が発生しています。 原因はノロウイルスです。 ノロウイルスは有名で、皆さん衛生面ではとても注意していると思います。 しかし、患者の糞便や嘔吐物が、ヒトの手指を介して食品を汚染したために発生したという事例も多く発生しています。 毎年多くの方が感染し、命を落とす方もいます。何故なのでしょう? ノロウイルスには人にとって、とてもやっかいな特徴があります。

◎消毒剤が効かない!

熱には弱く、85度では1分程度で、60度では30分程度で感染性はなくなります。 アルコールや殺菌剤、酸性殺菌剤はほとんど効果がありません。次亜塩素酸(ハイター)の効果が認められています。ハイターで消毒できない、加熱できないものなどは 物理的に洗い流すしか対策がありません。

◎とても小さくて、強い!

ノロウイルスは非常に小さいです。直径30~38nmの粒子でウイルスの中でも 最も小さい部類となります。手の指のシワなどに入ってしまうと完全に取り除く ことは非常に難しいです。(ウイルスの大きさを人と考えた場合、指紋の溝は 富士山くらいの高さになります。) 嘔吐物や糞便中には10億個くらいのウイルスが排出されます。 手に付着していると、知らない間にウイルスをまき散らします。 さらに、乾燥にも強いため、空気中でも3~4週間程度は感染力を持ちます。 だから、手などについてしまうと非常に危険です。 感染を拡大してしまうリスクがとても高くなります。

◎非常に感染力が強い!

ノロウイルスは非常に感染性が強く、10~100個程度口に入っても 感染すると言われています。嘔吐物や排泄物が乾燥して空気中に舞い、そのほこりを吸ってしまう事で感染したと思われる事例も確認されています。

◎症状が無くなってもウイルスを排泄している!

ノロウイルスに感染すると症状がなくなってからも、長くて1ヶ月間も糞便にウイルスを排出しています。また、感染しても症状がほとんど無い人もいます。発症せずに、自覚がない人でもウイルスを排出している可能性があります。 だから、かなり注意していてもノロウイルスの感染は防ぐことが難しいのです。 <症状、治療、対応> 感染してから、潜伏期間が1~2日あり、発熱、嘔吐、下痢などの症状が現れます。 有効な薬はないので、水分をよく取って寝ているしかありません。嘔吐物や排泄物には大量のウイルスが含まれていますので、素手で触れたりしない様に注意しましょう。嘔吐物はキッチンペーパーなどに吸収させ、ビニール袋に密閉して廃棄しましょう。 一緒に次亜塩素酸ナトリウム(1000ppm ハイターを50倍希釈)を適量振りかけてから密閉するとより安全です。 タオルや洋服などに嘔吐物がかかった場合は、煮沸消毒します。漂白されても問題ないものであれば、ハイターを50倍~100倍程度に希釈した溶液に漬けてから、他の物とは分けて洗濯してください。 家族に感染者が出た場合は、嘔吐物、糞便の取り扱いには十分に注意しましょう。 トイレ掃除などもマスク、手袋をして、便器などはなるべくハイターを使いましょう。 症状がなくなってもウイルスは排出しています。トイレ、入浴時には注意しましょう。

関連情報リンク集

国立感染症研究所 感染情報センター http://idsc.nih.go.jp/disease/norovirus/taio-a.html

厚生労働省ノロウイルスQ&A http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

ノロウイルス基礎知識(動画) http://www.youtube.com/watch?v=9IGcschcLGM

http://www.youtube.com/watch?v=yrA7tzHUGME

ノロウイルス処理方法(動画) http://www.youtube.com/watch?v=1FJA0wrdRmI

Q&A

〇ノロウイルスとは?

 人の腸管でしか増えないウイルス(直径30~38nmの粒子)です。口から侵入し、腸管に感染します。酸に強く胃を通過しても感染力は落ちません。感染すると1~2日後に発熱、嘔吐、下痢が起こります。嘔吐物や糞便に大量にウイルスが排出されます。症状がなくなっても1ヶ月程度は糞便にウイルスが排出されています。

〇名前の由来は?

 1968年にアメリカノーウォークの小学校で発生した急性胃腸炎の患者から初めて検出された。その地名をとってノーウォーク(Norwalk virus)と命名された。日本では1977年に札幌で同様な小型ウイルスが検出され、サポウイルス(Sapporo virus)と呼ばれました。

2002年の国際ウイルス学会でこれらのウイルスはノロウイルスとサポウイルスと正式に命名されました。そして現在、猛威を振るっているのはノロウイルスです。

〇どうして牡蠣にいるのでしょうか?

 実は2枚貝ならどの貝にもいます。シジミもアサリもです。

〇なぜ2枚貝にいるのでしょうか?

 2枚貝は大量に海水を濾過する貝です。人が排泄したノロウイルスが人→川→海へと到達し、沿岸に棲息する2枚貝の内臓にどんどん蓄積されていきます。だから、2枚貝ならどんな貝でも内臓にはノロウイルスがいます。冬場の気温だと数ヶ月はウイルスの感染力がなくなりませんので、このサイクルが成り立ちます。

〇なぜ牡蠣を食べると感染するの?

 唯一熱を通さないで内臓ごと食べる2枚貝が牡蠣です。ホタテは生で食べますが、内臓は食べません。だから、牡蠣を食べるとノロウイルスに感染するのです。

〇なぜ冬に流行するの?

 一つは牡蠣の季節だからです。牡蠣→人→川→海→牡蠣のサイクルが成立します。しかし、最近は牡蠣ではなく、人を介した食品からの感染の方が多いです。気温の低い冬はウイルスの生存期間も延びます。また、乾燥しているので、粉じんとしても舞いやすくなります。空気中でも数ヶ月は感染力を保持します。

〇治療方法やワクチンは?

 今のところありません。人工的にウイルスを増やす技術が開発されていないので、研究が進んでいません。

〇予防方法は?

 効果的な方法はありません。ウイルスを口に入れないことですが、手洗い、マスクなどはある程度効果があると思われます。ヨーグルトを食べると効果があると言われていますが、免疫力が高まり、感染しにくいという理由ですが、学術的に証明されている訳ではありません。

〇免疫ができないの?

 一度感染すると免疫ができる可能性がありますが、ウイルスが多様化しているので、何回もかかる可能性があります。また、免疫の持続性についても確証はありません。

〇感染しやすい人とかは?

 実は血液型で感染性が異なるという報告があります。A型、O型は感染しやすく、B型は感染しにくいです。ノロウイルスがターゲットとする小腸粘膜の糖鎖抗原が解明されています。小腸粘膜の抗原は血液と同じ型であることから、血液型で発症しやすい人としにくい人が分かるのです。ターゲットとなる抗原型がA型、O型ということなのです。実際に疫学的調査でもその傾向はあるということです。

〇感染の診断方法は?

 ノロウイルスかどうかはキットを使えば、15分程度で診断できます。糞便があれば診断可能です。感染の有無を調べてくれる病院は限られていますので、事前に問い合わせる事をオススメします。(理由:有効な治療法や薬がないため、個人のノロウイルス感染を調べる事はあまりしない。集団食中毒の疑いが有る場合は積極的に検査する。)

企画監修:株式会社ウエルシーライフラボ